ご相談内容
ご依頼者は佐野市の男性Aさんでした。
- 被相続人:父親(下野市在住)
- 相 続 人:長男A(依頼者)
- 遺 産:土地建物、預金
Aさんは幼い頃に両親が離婚し、お母様に引き取られて佐野市で育ちました。それから成人するまでお父様の所在も生死も知らず生きてこられたそうですが、先日下野市からお父様名義の固定資産税について、相続人に支払いを求める通知が届いたことから、お父様の死亡の事実を知ったそうです。
しかしAさんは亡お父様の遺産はもちろん、死亡日や死亡時の住所すらご存じなく、当センターに相続手続一切のサポートをご依頼されました。
解決当センターが行ったこと
Aさんは被相続人であるお父様について何の情報も持っていなかったため、行政書士の職務権限でAさんの現在の戸籍からさかのぼって戸籍謄本を収集して、被相続人の本籍や住所を調査していきました。これを相続関係説明図にしたところ、相続人はAさんただ一人であることが分かりました。
この時点で念のため、相続放棄の熟慮期間の伸長の申立を家庭裁判所に行いました。万一、被相続人が債務超過の場合、相続放棄ができなくなってしまうと大変なことになるからです。
次に固定資産税の納税通知を送ってきた下野市に名寄せを行い、被相続人が所有していた不動産を調査しました。するといくつかの農地とともに、被相続人の自宅だと思われる土地建物が見つかりました。また近隣の銀行にも調査を行い、被相続人名義の預金口座残高を確認していきました。同時に信用情報機関にも調査をかけ、債務の有無も調査しました。
これらの調査が終わったところでAさんに結果を報告し、当センター代表の行政書士も同行して、被相続人のご自宅と思われる家を訪ねることにしました。行ってみると、空き家になって多少の時間が経っているようでしたが、郵便ポストの中には被相続人宛の郵便物なども残っており、やはりここが亡くなったお父様のご自宅だと分かりました。
そこで近所で畑仕事をしていた方に声をかけ、事情を説明して被相続人の死亡の経緯などを聞きこみしました。近所の方のお話では、被相続人にはお姉様(Aさんにとっては伯母様)がいて、その方が葬儀を挙げてくれたということでした。また被相続人名義の農地は、近くにある本家が管理しているということで、本家の住所とお電話番号まで教えてくれました。
後日、農地の現状や被相続人の死亡の経緯などを詳しくお伺いするため、事前にお電話を入れたうえで再びAさんと一緒に本家にお話を伺いに行きました。本家を継いでいる方は、被相続人の従兄にあたる方でした。ここでお話をお聞きしたことで、被相続人の生前のご様子から亡くなった後のことまで詳しく知ることができました。また農地もきちんと管理してくれていて、Aさんが望むならお返ししたいとのことでした。
その後、被相続人の姉になるAさんの伯母様とも電話でお話することができました。
ここまでの調査で、被相続人の生涯及び遺産の状況も全て知ることができたため、Aさんに相続するかどうか決めてもらいました。預貯金はほとんどありませんでしたし、自宅の建物も古く、また田舎の土地でしたので、Aさんもどうするか少し考えたいというご返事でした。
数日考えていただいた結果、Aさんは相続したいというご希望でした。そこで主に不動産の名義変更及びその後の農業委員会への相続届を当センターで代行し、業務終了となりました。
コメント
Aさんは、幼い頃に離別したお父様の生涯について知ることができ、また遺産として下野市の実家を取得することができたため、満足できる結果だったようです。当センターのサポートには本当に感謝してくれました。
このように、役所からの納税通知や債権者からの督促状で相続発生を知って、当センターにご相談に見えるケースは時々ありますが、相続放棄をせずに遺産調査のうえで相続なさったのは珍しいケースでした。当センターとしてもお力になれて本当に嬉しく思いました。
突然債権者からの督促状が届いて相続の発生を知った場合、その時点から3ヶ月以内であれば相続放棄が可能ですし、それをきっかけに今回のように遺産調査のうえで見つかった遺産を相続することもできます。同様のケースでお困りの方は、いつでも当センターまでご相談ください。