ご相談内容
ご依頼者は、元々小山市にお住まいで現在は宮崎県都城市に居住されている女性Cさんでした。
- 被相続人:元夫
- 相 続 人:未成年の長女二女AB
、 (実際の依頼者は親権者C)
- 遺 産:預貯金・株式・債務等詳細不明
Cさんは元々家族で小山市にお住まいでしたが、ご主人との離婚をきっかけに実家のある都城市に戻っておりましたが、この元ご主人が死亡したために葬儀等もあり、小山市に滞在している最中でした。厳密にはCさんの未成年の子供AさんBさんが相続人になります。
ただ問題がありました。被相続人である元ご主人は、株式投資が趣味で日本の数多くの証券会社に証券口座を開設しており、それと同時にクレジットカードを100枚以上作成しておりました。それもご自身名義だけではなく、家族名義の証券口座やクレジットカードも何十枚も作成していたようで、亡くなった自宅の部屋には山のようにクレジットカードがありました。更にそこからご自身名義の他、家族名義(CDEFの各名義)で口座開設やキャッシングも行っていたようで、もう誰名義の借金がいくら残っているかも分からず、めちゃくちゃな状況でした。
そこでどうしていいか分からないAさんは、当事務所にご相談にお越しになって、必要な手続をご依頼されました。
解決当センターが行ったこと
まず被相続人のご自宅に会った証券口座開設通知書とクレジットカードを全てお預かりして、被相続人及びCDEFさんそれぞれの名前別に仕分けを行いました。
そのうえで、被相続人の証券口座を調査するために証券保管振替機構に相続人名で紹介をかけ、被相続人が有していた証券口座を一気に確認を取りました。見つかった証券会社についてはご自宅にあった預金通帳の金融機関とともにそれぞれ残高証明書発行の依頼を行い、被相続人の財産を洗い出していきました。また債務については各信用情報機関に被相続人名で紹介をかけ、それぞれの金融機関でどれだけの借金をしていたかを調査しました。
加えて被相続人の契約していた各クレジットカード会社に連絡を入れ、それぞれのクレジットカードの解約手続を行っていきました。
また同時並行して、CDEFさん名義のものについては、本人名義で証券保管振替機構及び各信用情報機関への照会書類を作成して差し上げました。これにより、被相続人がCDEFさん名義で勝手に作成した証券口座及び債務総額を調べ上げました。
こうまとめると簡単ですが、実際は半年近い期間がかかりました。未成年者である相続人ABの親権者であるCさんは相続放棄の意思がありましたので、同時にAさんBさんの相続放棄のサポートも進めていきました。
AさんBさんの相続放棄が受理された後、被相続人には大した財産がなく、逆にキャッシングで作った債務が数百万円あることが分かりました。どうやら被相続人の株式投資は大幅な赤字で、その埋め合わせに家族名義のクレジットカードを大量に作ってそこから借金を繰り返していたようでした。
そのため、被相続人のご両親であるDさんEさん、弟のFさんまで最終的に相続放棄を希望され、これら一切をサポートして差し上げました。
問題は、被相続人がCDEFのそれぞれの名義で作ったクレジットカード及びキャッシングした債務の処理でした。それぞれの皆さんには身に覚えのない借金です。一緒に仕事をしている弁護士にも相談しましたが、被相続人はインターネット上からクレジットカードの申込をしていたらしく、申込書類の筆跡等から否定することも難しいということで訴訟になった場合、争うのが大変だということでした。
色々悩んだようですが、債務の存在を否定せずに、最終的にご両親のDさんEさんが4名名義の債務を全てお支払いなさいました。
コメント
被相続人が100枚以上のクレジットカードを作成していた今回のケースは、これまで15年近く遺産相続を専門に手続をサポートしてきた当センターでも初めての特殊なケースでした。
被相続人が家族名義で借金をしていたケースは他にもありましたが、以前のケースでは借入の申込書が紙で残っていたため、否定することができました。インターネットが浸透した現代では、家族の運転免許証や保険証をコピーするチャンスがあれば、家族名義で借金することも難しくありません。被相続人が死去したため、返済できない金額になる前に明るみに出ましたが、これが莫大な金額になった後だったら大変でした。
ケースとしてはあまりありませんが同様のケースはございます。相続の際に、身に覚えのない債務が見つかったなどのトラブルがあれば、いつでも当センターまでご相談下さい。